入れ歯で時々起こる問題として、「落ちてくる」、「外れる」というのがあります。入れ歯が落ちてくると食事が不便なだけでなく、人と話す時も気になってしまいますね。
入れ歯が落ちたり外れたりしてしまう方は、それがもはや当たり前に思えてしまっているかもしれませんが、必ず何か原因が隠れています。特に入れ歯を作ってから何年も経っている方は、一度歯医者で入れ歯の具合を見てもらった方が良いでしょう。
今回は入れ歯が落ちたり外れたりする原因、そして対策についてご紹介していきます。
入れ歯が落ちる、または外れる場合の原因
入れ歯が落ちたり外れたりする原因はいくつかありますが、部分入れ歯か総入れ歯かによっても原因が違ってきます。
部分入れ歯が落ちる・外れる原因
1.金具が合っていない
部分入れ歯は、残っている歯に「クラスプ」と呼ばれる金具を引っ掛けて入れ歯を安定させます。ですが、着脱を繰り返していくうちに、クラスプがだんだんと開いてきて緩くなり、入れ歯が動きやすくなってしまいます。
また、何らかの原因でクラスプが変形してしまっている場合も、しっかりと固定がされませんので、入れ歯が動いたり、落ちたりしてしまいやすくなります。
2.金具のかかる歯自体がグラついている
部分入れ歯の金具がかかる歯が歯周病などでぐらついてくると、入れ歯もそれに合わせて動いてしまいます。
総入れ歯が落ちる・外れる原因
1.入れ歯の面積が小さい
総入れ歯が安定する原理というのは、粘膜との吸着力です。そのため、入れ歯が粘膜を覆う面積が小さいと、吸着がうまく得られず、外れやすくなります。
2.入れ歯の面積が大きすぎる
逆に入れ歯が大きすぎても外れる原因になります。入れ歯が覆う面積が多くて、粘膜のよく動く部分まで覆っていると、口を動かすたびに入れ歯も動いて外れてしまい、外れてしまいます。
3.噛み合わせに問題がある
噛み合わせもバランスが取れていることが大切です。どこか一箇所の噛み合わせが悪いだけでも、噛んだ時にバランスが崩れ、外れてしまうことがあります。
4.歯茎が痩せてしまい、内面が合わなくなった
歯を失って年月が経つにつれ、あごの骨が吸収し、痩せていきます。歯茎も同時に痩せてしまうので、入れ歯を作った頃とは粘膜の形が変わり、合わなくなってきて入れ歯が外れやすくなります。
5.人工歯の位置がよくない
入れ歯の人工歯の位置がよくない場合にも入れ歯が外れやすくなることがあります。人工歯は筋肉の調和のとれた位置にないと、外れてしまいやすいのです。
例えば人工歯が内側に寄り過ぎていても外側に寄り過ぎていても外れやすくなります。前歯が出っ歯になっている場合も外れやすくなります。
6.唾液の減少
唾液は、入れ歯と粘膜を吸着するのに必要不可欠です。それゆえ、唾液が少ないと吸着が悪くなってしまいます。
入れ歯が落ちる、外れる問題に対する対処法
入れ歯が落ちる・外れる場合、原因をまず突き止め、それに合った対処を行います。
部分入れ歯
クラスプ(金具)が合っていないケース
クラスプの調整する、もしくはクラスプを作り直して交換することで、再度安定させることが可能です。
クラスプのかかる歯自体に問題があるケース
入れ歯を支える歯があまりにもぐらぐらな場合には抜歯をし、他の歯に支えを求めることになります。
総入れ歯
入れ歯の大きさが問題の場合
大きすぎる場合には縁を削って、適正な大きさに調整する、小さい場合には材料を足して面積を広くするか、入れ歯を作り直した方がいい場合もあります。
噛み合わせが問題の場合
問題の部分の噛み合わせを調整していきます。
内面が合わなくなっている場合
歯茎が痩せて内面が合わなくなったケースに対しては、入れ歯の内面に材料を足して歯茎にぴったりと合わせ直すことで対処が可能です。ですが、入れ歯自体が古くなっている場合には作り直したほうが良いケースもあります。
人工歯の位置に問題がある場合
入れ歯を作り直して歯の位置を変える必要があります。
唾液の減少が原因の場合
まずは口の中の乾燥を起こしている原因を突き止めます。もし全身的な病気や服用薬の副作用などが原因の場合、それに対する対処をかかりつけの医師と相談する場合があります。
唾液腺をマッサージすることなどで改善が見られることもありますが、改善が難しい場合には、人工唾液などを使用する場合もあります。