歯を失う原因のトップは、ご存知の通り歯周病と虫歯ですが、歯を失う原因はそれだけではありません。歯を失う原因で意外に多いものとして、歯の根っこが折れてしまう「歯根破折」というものがあります。虫歯や歯周病はセルフケアをしっかり行うことである程度予防が可能ですが、歯根破折は一体どう予防するのかわからない、という方も多いかと思います。今回は、歯根破折を起こしやすい人とはどのような人か、またそのような人がどういう点に注意をしたら良いか、ということなどについてご紹介していきます。
歯根破折を起こしやすい人
次のような人は歯根破折のリスクが高くなります。
歯ぎしり・食いしばりの癖がある
歯ぎしりや食いしばりの癖がある、力仕事やスポーツで食いしばる、というような人は歯根破折を起こしやすくなります。
神経を抜いた歯がある
神経を取った歯は栄養が行き渡らず、弾力性を失い、枯れ木のようになるため、折れやすくなります。
金属の土台の差し歯が入っている
神経を抜いた後に金属の土台が入っている場合、歯根が割れるリスクが高くなります。
噛む力が強い人
噛む力が強めの人は歯が折れやすくなります。特に中年以降の男性に多く見られます。
硬いものをよく食べる人
スルメなど硬いものを好んで食べる人は、歯に大きな負担がかかるため、歯が折れやすくなります。
歯根破折を疑う症状
歯根は歯茎に隠れているので、目では見えないため、ご自分で見て気づくということは稀です。また、初期の破折はレントゲンにも現れにくいため、初期の段階で発見されることもあまりありません。そのため、多くの場合は何らかの自覚症状がきっかけになって発見されます。
一般的に歯根破折の症状としては次のようなものが挙げられます。
歯がしみる
神経が入っている歯の場合、亀裂から神経に刺激が伝わり、冷たいものや熱いものでしみることがあります。
噛むと痛い
噛む部位によって痛みが強くなる、フランスパンやスルメのような噛みごたえのあるもので痛みを感じる、というようなことが起こる場合があります。
歯がズキズキする
神経の入っている歯が破折すると、神経が炎症を起こしてズキズキ痛み出すことがあります。
歯茎が赤く腫れる
破折した歯根の周囲に感染を起こすと、その周囲の歯茎が赤く腫れてきます。歯茎から膿が出てくることもあります。
歯にぐらつきが出てくる
破折が奥まで行くと、歯がグラグラし、破折した部分が取れてくることもあります。
差し歯が頻繁に取れる
歯根破折した歯に入っている差し歯が頻繁に取れてくることが歯根破折のサインになることもあります。
歯根破折の場合の治療法
歯根破折の治療法は程度によって変わってきます。破折している部分が比較的浅い場合には、治療して被せ直しをして残せる場合もありますが、破折が深い部分まで行っている場合には基本的に抜歯になるケースがほとんどです。場合によっては破折した部分を接着剤でくっつけて様子を見ることもありますが、あまり長持ちしないことが大半です。
歯根破折の予防法
歯根破折のリスクが高い人は特に、歯根破折を予防するために次のことに気をつけてみることをおすすめします。
歯ぎしり・食いしばり対策をする
もし、日中に食いしばる癖がある場合は意識してやめるようにしましょう。スポーツで食いしばる必要のある方は、スポーツようのマウスピースを装着するというのもおすすめです。自分でコントロールが難しい夜間の歯ぎしりに関しては、ナイトガードというマウスピースを歯科で作ることができますので、ご相談ください。
虫歯にかからないようにする
歯は神経を抜くと、脆くなり割れやすくなります。そのため、日頃から神経を抜くようなことにならないよう、虫歯予防を心がけましょう。また、痛くなってから歯医者に行く、ということが習慣になっている方は、どうしても虫歯がひどくなってからの治療ということになりがちで、歯を失うリスクが高くなりますので、定期的に歯科を受診し、早期発見・早期治療ができるようにすると良いでしょう。
硬いものは控えめにする
硬いものは食べすぎると歯にとって負担がかかります。硬いものはほどほどにし、あまり食べ過ぎないようにしましょう。