近年、帯状疱疹の患者さんが増えていると言われています。帯状疱疹にかかると強い痛みや皮膚症状が出ることが知られていますが、歯の痛みを引き起こすこともあります。
今回は帯状疱疹によって引き起こされる歯痛についてご紹介します。
帯状疱疹とは
帯状疱疹というのは、水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされるウイルス感染症です。
子供の時にかかった水疱瘡を引き起こすウイルスは、水疱瘡が治った後、体内の神経節にずっと潜んでいるのですが、加齢、疲れ、ストレスなどにより免疫力が低下すると、ウイルスが再び活動し始め、神経や皮膚に症状を出し、強い痛みを伴う帯状疱疹の症状を引き起こします。
帯状疱疹の症状
まずは、神経の走行に沿って体の左右どちらかにピリピリ、もしくはズキズキした痛みが起こります。そして、痛みが出ている部分が帯状に赤くなってきて、その後に水膨れが現れます。帯状疱疹では、皮膚だけでなく、神経にもウイルスが増殖し、炎症を引き起こすため、強い痛みが現れます。ちなみに、ピリピリとした痛みを感じてから水膨れが消えるまでには大体1ヶ月ほどかかることが多いようです。
帯状疱疹が現れる場所で最も多いのは、胸から背中にかけて(肋間神経)の場所ですが、顔面の三叉神経にも起こることがあり、その場合、神経の場所に応じて、失明や難聴・耳鳴り、めまい、顔面神経麻痺といった症状が起こってきます。
帯状疱疹によって起こる歯痛
帯状疱疹によって歯に激痛が起こることもあります。
三叉神経に帯状疱疹が起きると、片側の複数の歯に虫歯のような強い痛みが生じることがあります。痛みは1週間以上続き、一番ひどい時には歯の神経の炎症のような激痛が現れることもあります。そして、その痛みを訴えて歯科を受診し、神経をとる治療が行われることもありますが、よくなることはありません。
ウイルスは神経の走行に沿って移動していくため、歯が痛い場所が徐々に奥歯から前の方へと移動することも少なくありません。神経の一番端にまでウイルスが到達すると、口の中の粘膜に水疱が現れます。
また、帯状疱疹が治った後にも、帯状疱疹後神経痛というものが起こることがあります。通常痛みを感じることのないような軽い刺激でも、痛みを感じてしまい、歯磨きや飲食が困難になることもあります。
帯状疱疹は早めに受診し、薬を服用することでウイルスの増殖を抑えることが可能です。
心当たりのある方は、早めに医療機関を受診するようにしましょう。