大きな口を開けた時、あくびをした時に「カクカク」と音がする、食べ物を砕く度にこめかみや、耳の周辺が痛むことはありませんか?そのような症状がある場合は「顎関節症」かもしれません。近年は特に20代~30代の女性に多くみられる症状であり、酷くなると口が開かなくなり食事もままならなくなってしまう可能性もあり、見過ごせないサインです。そこで今回は顎関節症について詳しくご紹介していきましょう。
顎関節症とは?
顎関節症は、幼少期の頃より小学生10%、中学生13%、高校生20%の割合で顎関節症などの症状があり、日本人の総人口のうち20%~40%の約300万人から500万に顎関節症などの治療が必要だと言われています。
顎は関節や神経が巧妙に入り組んだ複雑な構造をしながら下の顎を支えています。食べ物を食べる時、言葉を発する時に顎と関節は連動して動いています。この連動した動きをおこなう時に、顎や関節、周辺組織になんらかの原因があり痛みが生じる、口を動かしにくくなる場合、顎関節症となります。
主な症状
下記の症状のうち、主な症状が1つでもある場合は顎関節症に罹患している可能性があり、見過ごせないサインとなります。
- 顎関節や周辺に異変を感じる。
- 食べ物噛み砕く時に痛みや異変を感じる。
- 食事をしていると顎がだるい、顎に痛みがある。
- 口を開けたり、閉じたりする時に「カクカク」、「コッキン」と音がする。
- 口がスムーズに開けづらくなる。
顎関節症の副症状
顎関節症が引き起こす副症状をご紹介します。原因不明だった症状も実は、顎関節症が原因で生じている場合もあります。
- 頭痛、首や肩や背中のコリや痛み、全身の痛み
- めまい、頭痛、耳鳴り、耳が聞こえにくい
- 目の疲れ、充血、涙が出る
- 鼻のつまり
- 顎が安定しなく、咬み合わせがずれる
- 歯や舌の痛み、味覚障害、ドライマウス
- 嚥下や呼吸困難、手や足のしびれ
自然に症状が治る場合もありますが、癖になったり、症状が悪化したりする場合も多く考えられるため、異変を感じる場合は、早めの受診をおススメいたします。
顎関節症の原因
顎関節症の原因はいくつかあり、その中でも多い原因であるのは、下顎と頭蓋骨の接続部分にある関節円板と言われる下顎の動きを受けるクッションの役目を果たす部分のずれによって、口の開け閉めがスムーズにおこなうことが困難となります。その他の原因として考えられるのは、ストレスや精神的緊張が顎周辺の筋肉を緊張することにより咬み合わせが崩れてしまう場合や、歯ぎしりをする癖がある人は顎関節症になりやすいとされています。
また、関節になんらかの障害がある場合や、関節に外傷がある場合なども顎関節症の原因になると考えられ、顎関節症と考えられる原因は1つとは限らず、いくつかの条件が合わさって症状が現れる場合もあります。
顎関節症の原因
- 急激なストレス、不安、緊張
- 歯ぎしり
- 歯を食いしばる
- 唇や頬の内側を歯で噛む癖がある
- 頬杖、うつ伏せ寝、猫背
- 顔面・頭部の外傷
- 入れ歯、補綴物が合わない
- よく大きな口を開ける、硬いものを食べる
- 片側の歯だけで噛む
- うつ、睡眠障害
治療と予防策
上記でご紹介したように、顎関節症な主な症状である「顎が痛い」「口が開かない」「カクカク音がする」など1つでもある場合は、顎関節症の疑いがあり検査をして診断していきます。
顎関節症診断まで
- 患者さまへの問診
- 顎の動きの検査
- 顎、咀嚼筋の痛みの検査
- レントゲン検査
- 必要に応じてMRI検査
- 必要に応じて心理テスト(心理的原因が考えられる場合)
顎関節症の治療
歯科医院での治療法のとしては、顎関節症の原因となる咬み合わせのずれを改善することを目的に治療をおこないます。スプリントと呼ばれる透明なマウスピースを歯列に装着して、夜間睡眠時に使用します。睡眠時には、無意識に噛みこんでしまう場合も多く顎関節や、周辺筋肉の負担を軽減させ、顎、顎関節を正しい位置に導き咬み合わせをもとに戻していきます。
痛みが酷い場合は、鎮痛剤の服薬、近赤外線レーザーや電気刺激などで筋肉の血流を改善させる治療をおこないます。
セルフケア
顎関節症の症状は日常生活で患者さま自身がおこなうセルフケアで軽減、改善することも多く、歯科医院での治療と並行しておこなうことが望ましいとされています。
- 顎を安静にする
- 口を大きく開けない
- 冷湿布、温湿布を貼る
- マッサージをする
- 姿勢改善
- 就寝時のうつ伏せ寝の改善
- 顎の運動(口を開けたり閉めたり左右に動かしたりする)
- 全身運動(ウォーキング・水泳など)
- リラックスする
以上、顎関節症についてご紹介して参りました。顎関節症は国民の約300万人から500万人もの人が抱えている問題であり、誰しも起こりうる身近な疾患です。現在、顎関節症で悩んでいる人はもちろんのこと、現在顎関節症ではない人も日常生活における習慣を改めることで、改善・予防ができるのではないでしょうか。また、顎関節症でお悩みの際は、自己判断せずに1度、歯科医院を受診しましょう。