マウスピース(ナイトガード)とは
マウスピースには、矯正用のマウスピースもありますが、ここでは主に就寝中に着用する歯ぎしり・食いしばり対策としてのマウスピース(ナイトガード)についてご説明します。
歯科医院で取り扱うマウスピースは、型取りをして作製するため、ぴったりと歯列にはまります。通常、アクリル樹脂を使用します。これを就寝時に装着することで、歯ぎしりによる悪影響を予防する効果が期待できます。顎関節症の治療の一環として使用することもあります。
なお、日中の食いしばりの癖がある場合には、同じマウスピースを、日中に装着していただくことも可能です。
このような方におすすめです
- 就寝中の歯ぎしりがある、家族に指摘された
- 歯科医院で歯ぎしりの疑いを指摘された
- 起床時に顎が疲れている
- 歯のすり減りがある
- 歯周病治療がうまくいかない
- 顎関節症の診断を受けた
- 日中に食いしばる癖がある
歯ぎしり・食いしばりが起こすリスク
歯が削れて知覚過敏・むし歯になる
歯ぎしりや食いしばりは無意識に行われるものですが、その力は非常に大きく、エナメル質を摩耗させてしまいます。中には、象牙質が露出して知覚過敏に至るケースも見られます。また象牙質は、エナメル質よりも容易にむし歯になってしまいます。
歯周病が悪化する
歯ぎしり・食いしばりは、歯だけでなく、歯周組織にダメージを与えます。強い歯ぎしり・食いしばりが歯周病を悪化させる原因になっているケースは少なくありません。
自分の歯や被せ物が割れる
歯ぎしり・食いしばりによって、天然歯や被せ物が割れてしまうことがあります。特に歯科用プラスチックやセラミックは、金属の詰め物・被せ物と比べて、割れやすい材料と言えます。
顎関節症になる
顎関節に強い力がかかり、顎関節症の原因の1つとなることがあります。大きく口を開けられない、顎に痛みがある、開閉時に異音がするという場合には、顎関節症が疑われます。
睡眠時無呼吸症候群
歯ぎしりは、睡眠中に繰り返し無呼吸状態に陥る「睡眠時無呼吸症候群」との関連が指摘されています。
マウスピースの効果とメリット
寝ている間の歯ぎしりを確認できる
歯ぎしりがある場合には、マウスピースにその跡がつくため、歯ぎしりの有無の確認に役立ちます。透明なマウスピースの一部が白濁していたり削り跡がある場合には、歯ぎしりがあると考えられます。
歯への負担を減らす・歯が削れるのを防ぐ
歯と歯が直接接触しなくなるため、歯が削れるのを防ぐことができます。また、マウスピースの厚みの分噛み合わせが高くなることから、力が入りにくくなり、歯への負担軽減、歯ぎしり・食いしばりの改善といった効果も期待できます。
噛み合わせのずれを修正できる
歯科医院でマウスピースを作製する場合には、正しい噛み合わせへと誘導する設計を行います。これにより、噛み合わせがズレている場合には、その改善が期待できます。
睡眠時無呼吸症候群を改善できる
医科において睡眠時無呼吸症候群が認められる場合には、顎の位置を是正し気道を確保する特殊なマウスピースを設計し、使用していただきます。睡眠時無呼吸症候群、およびいびきの改善が期待できます。
ナイトガードのデメリット
慣れるまで違和感がある
歯列にぴったりとはまるため異物感は少ないものの、やはり最初は多少の違和感があります。繰り返し使用していくうちに慣れていきますので、最初は少し、我慢して使い続けてください。
定期的なメンテナンスが必要
長く使っていると、どうしても劣化・変形します。定期的に歯科医院にお持ちいただいて、メインテナンス(劣化・変形の有無のチェック、クリーニングなど)を受ける必要があります。
なお、明らかな劣化や変形・破損に気づいた場合には使用を中止し、当院にお持ちください。そのまま使用を継続すると、歯並びの乱れなどを引き起こすことがあります。
コストがかかる
マウスピースを作製するためには、やはりコストがかかります。
ただ、原則として保険が適用されます。3割負担の方で、負担金額は5,000〜6,000円程度が目安となります。
市販のマウスピースとの違い
市販のマウスピースは、最初から形が決まっているものがほとんどです。湯煎するなどして形を調整できるものもありますが、やはりぴったりというわけにはいきません。そのため、十分な効果が得られない、厚みがあるため異物感が大きいといったデメリットが生じます。
対して歯科医院で取り扱うマウスピースは、型取りをして作製します。これにより薄く、異物感少なく、かつしっかりと効果を得ることができます。
市販のものと比べて費用はやや高くなりますが、歯科医師の診断を受けられるという意味でも、マウスピースは歯科医院で作製することを強くおすすめします。